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INTERVIEWインタビュー
移住者紹介 MIGRATOR INTERVIEW
2023年9月22日 UPDATE

堀内悠さん

  • 移住者紹介

10年前に姫島にIターン移住し、現在は姫島村役場の職員で、おおいた姫島ジオパークの専門員をされている堀内 悠(ほりうち ゆう)さんにインタビューしました。

天一根前の堀内さん

― 堀内さんの普段のお仕事について教えてください。

主な業務としては、おおいた姫島ジオパーク拠点施設「時と自然の希跡ジオパーク 天一根」の展示や標本管理、子どもたちへのジオパークに関する教育活動、ジオパークの普及啓発、観光PR、ジオパークの案内、ジオパークのネットワーク活動など幅広く行っています。

また、環境保全や調査研究の支援、研究者の誘致も重要な活動です。他には広報ひめしまの記事の執筆なども行っています。

おおいた姫島ジオパーク拠点施設「時と自然の希跡ジオパーク 天一根」 – 姫島村ホームページ

化石の説明をする堀内さん

― ジオパークの普及啓発とはどんなことをしていますか?

普及啓発活動や子どもたちへの教育活動などの一環として、姫島村の文化祭や、大分市でのイベント、科学体験教室などのワークショップを、年に数回開催しています。

― ワークショップではどのようなことを体験できるんですか?

たとえば、姫島の砂浜で採取した砂を顕微鏡で観察して、砂の中からガーネットなどの宝石を探します。他にも渡り蝶アサギマダラのおもちゃ作りなどが人気です。

― 宝石探しにおもちゃ作りですか、楽しそうです。

子供から大人まで、姫島を楽しんで知ってもらえるように、他にもいろいろなワークショップを日々考案して開発しています。ただ、構想はいろいろあるのですが、時間やコストの都合が合わず、実現できていないものが多いです(笑)。

ワークショップの様子

― 移住する前はなにをしていましたか?

茨城県の産業技術総合研究所でポスドク(博士研究員・ポストドクター)として大学で博士号を取った後に期間雇用の特別研究員として働いていました。その時は鉱物資源の研究をしていました。粘土の鉱山とレアアースの鉱山についての研究です。

 

― 姫島を知ったきっかけは何でしょう。

大分市の出身なので姫島の事については子どものころに知りました。はじめて姫島に渡ったのは、中学生のころに買ってもらった自転車で、父といろいろなところに出かけていたときですね。

 

― 大分市から自転車で姫島まで来たんですか!

そうなんです。そのころは父と県内のいろいろなところに行きました。玖珠の祖母の家に徒歩で行ったこともあって、今考えるとスパルタだったなと(笑)

 

― 当時の姫島の印象はどうでしたか?

中学一年生だったこともあり、当時のことはほとんど覚えていないですが、コンボリュートラミナと黒曜石を見たことは覚えています。あと、離島ということで冒険心がうずいてわくわくした気持ちになりました。

地層の調査をする堀内さん

― 姫島に移住しようと思ったきっかけを教えてください。

ポスドクの任期が終わる時期が近づいていた時、次は地元の大分で研究の分野で仕事を見つけられたらと考えていました。

知り合いの地質標本館の方に相談したところ、ちょうど姫島がジオパークに認定されたばかりで、専門員を探していると聞いたのがきっかけです。

 

― 「離島への移住」という部分には心配はありませんでしたか?

むしろ離島に住んでみたいと思っていたので、心配はありませんでした。

 

― なぜそう思われていたのでしょうか。

大学生のころ、口永良部島(くちのえらぶじま)に行ったときに、宿泊した旅館のおじいちゃんが人の生き方についていろいろと語ってくれたんです。それが心に響いて自分の考え方がガラッと変わりました。

それから、「自然の中で人間が生き物として生きていく」、「不便でも人間が知恵を生かして生きていく」という暮らしにあこがれを持っていたので、離島に住んでみたいと思っていました。

千人堂の崖下にいる堀内さん

― 移住前の姫島の印象はどうでしたか。

姫島には大学院の時にもフィールドワークで来たことがあります。その時も地質を見る目で姫島を見ていたので地質的に魅力的を感じました。

当時いろいろな離島に行ったんですが、そのなかでも姫島は道が広かったり、家がいっぱい建っていたり発展していて、人が多く賑わってるという印象を持ちました。

 

― 実際に暮らしてみてどう感じましたか。

思っていた以上に、生活が便利で快適でした。生活に必要な設備が充実しているし、都会暮らしをしているのとほとんど変わらなかったです。私としてはもう少し自然の中で不便な暮らしをするイメージをしていたので、自然に触れたいときは山や人の手があまり入っていない海岸に行くなどしています。

千人堂の崖を調査中の堀内さん

― 普段どういった暮らしをしているか教えてください。

今は家賃の安い一軒家を借りて住んでいます。かなり古いので傷んでいるところもそれなりにありますが、大家さんからは「好きに修繕していいよ」と言われているので、徐々に直していけたらなと思っています。

 

― ご近所の方とのおつきあいはどうですか?

移住してからは、年齢が上の方と飲み会をすることが平気になりました。

今までは同世代の人同士で飲むことが多かったので、違う世代の人と交流がありませんでした。姫島だと年配の方と飲むこともあれば、若い人と飲むこともあり、世代をこえて人と話す機会が増えましたね。

前は年配の方と何を話していいかわからなかったんですけど、姫島に移住してから気軽に話せるようになりました。

ジオガイドをしている堀内さん

― 思い出深いエピソードがあれば教えてください。

印象に残っているのは方言についてです。私も大分市の出身なので大体の方言がわかるんですが、やはり姫島独自の方言があって、移住したての頃はよく聞き返していました。

移住していて1週間ぐらいの時に職場で課長に「車かってこい」と言われて、なぜ突然車を買えと言われるのかと驚いたんです。詳しく聞いてみると、「購入してきて」ではなく「借りてきて」の意味だったということがありました。

 

― 年代によっても使う方言が違いますし、難しいですよね。

はい。最初は日常的に周囲の人が使っている言葉がわからなくて戸惑うことがありましたね。それからは知らない方言は表にしてまとめているので、大体わかるようになってきました。

 

― 姫島でこれからやってみたいことはありますか?

もっと姫島を通して地球や地域について考えられるようなことができたらいいなと思います。

たとえば、島外の子どもたちや若い世代を呼んで、いろいろな体験をする企画とか。夏休みに姫島を冒険して地層や風土について体験するワークショップなどをすれば、より姫島や地球に興味を持ってもらえるのではないかと考えています。

 

― 最後に移住を考える人へのメッセージをお願いします。

姫島は人とのつながりが強いのでお互いを尊重できる人が向いているかなと思います。私も移住してきた人と一緒にいろんなことをできたらいいなと思っています。

今住んでいる場所で大したことじゃないと思っている特技だったとしても、姫島では輝ける魅力になりえます。技能を持った人は自分の特技を生かせる場を開拓しにぜひ姫島に移住してもらえたらと思います。

姫島のポスター前の堀内さん

― ありがとうございました!