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INTERVIEWインタビュー
移住者紹介 MIGRATOR INTERVIEW
2022年12月6日 UPDATE

上岡勇太さん

一本釣り漁師
  • 移住者紹介

2021年に姫島に移住して漁師として独立を目指す上岡 勇太(うえおか ゆうた)さんにインタビューしました。

― 上岡さんの普段のお仕事について教えてください。

一本釣りで、主にアコウ、ヒラメ、鯛、コチなどを釣っています。親方漁師の下で研修をしています。船方(ふなかた)という親方から雇用されている乗組員として乗船し、漁業について技術を学びながら働いています。

上岡さんと親方の舟

― 姫島に移住する前は、どこで何をされていましたか?

姫島に来る前は十数年ほど大阪や広島で理容師をしていました。

 

― 理容師から漁師へ転向されたんですか。かなり職種が違うと思いますが、切っ掛けなどはありましたか?

コロナ禍で休業せざるを得ない期間に、これまでを振り返りこのままでいいのかと思ったのがきっかけです。今まで理容師としてチャレンジし続けてきたので、「今度は違うことで一生懸命チャレンジをしたい」と思うようになりました。もともと、子どものころから山遊びや川遊びをしており、趣味で船舶の免許は取っていて少し漁業に興味があったんです。たまたま大阪で漁業就業フェアが開催されることを知り、漁師になれるかもしれないと参加しました。

 

― 漁業就業支援フェアがきっかけで漁師を目指されたとのことですが、姫島にした決め手はなんでしたか?

募集には独立型と雇用型の2種類がありました。サラリーマンとして漁に行くよりも、自分で獲った魚で生計を立てていきたいという思いがあったので、自分で船を持って独立できる独立型の募集をフェアで探していました。会場で話をした姫島漁協の方から後日電話があり、「ぜひ姫島に来てください」と声をかけて貰ったので面接をしたんです。話をしていくうちに漁師になることが現実的に見えてきて「よし、チャンスだな。もう今しかない」と意志が完全に固まり姫島に決めました。

漁業就業フェア情報 – 漁師.jpホームページ

進行方向を見る上岡さん

 

― 姫島に決まってからはどのような流れで移住が進んだのでしょうか?

まず、姫島を知るために1週間ぐらいの短期研修があります。姫島で下見をしたり、紹介された親方と沖に出たり、漁協の方含め漁師になるための具体的な話をしました。その後、僕が今行っている国の長期研修が始まりました。行政の新規漁業就業者への支援がかなり手厚くて、驚きました。

 

― 長期研修とはどのようなものでしょうか?

僕が受けている長期研修は3年間で、「漁ろう技術習得研修」を1年目(前期)・2年目(後期)とし、親方の下で2年間働きながら現場での操業等を習います。3年目は「実務型研修」という研修で、自分で水揚げ目標等を定めた計画を実践していきます。今は親方の下で技術を学んでいますが、来年からは自分で水揚げを入れていくことになります。

 

― 手厚い支援とはどのような支援がありましたか?

移住については姫島村の支援事業の一つとして、移住にかかる費用や家を買ったり修繕したりする費用の補助があったので、それを使い僕が実際住んでいる家を購入することができました。今後、漁船を買うんですが、それも村と県からの補助がかなり出るのでありがたいです。

姫島村移住応援給付事業費補助金 – 姫島村ホームページ
空き家利活用事業費補助金 – 姫島村ホームページ
新規漁業就業者への支援 – 大分県ホームページ

※支援内容は取材当時のものです。最新情報は各ホームページよりお問い合わせください。

舟を運転する上岡さん

 

― 船舶の免許は移住してから取られたんですか?

僕はもともと、釣りが趣味で、船の免許も2級を持っていました。嫁と小さなミニボートで日帰りできる範囲で魚釣りをして遊んでいました。魚釣りをしているときによく2人で「こんなところで暮らせたらいいよね」と、話してたような場所での暮らしが、まさか本当になるとは思いませんでした。悶々とせずに、チャレンジしてみてよかったと思っています。

 

― 奥さんも釣りがお好きなんですね。

そうですね。なんなら嫁も漁師をしたいと言っているぐらいです(笑)

転職・移住について理解を示してくれて、背中を押してもらえたのでありがたかったです。まだ、僕が駆け出しなので、2人でやるとかはまだまだ夢の話ですけど。

 

― 移住前は本州でずっと暮らされていたということですが、九州の離島ということに不安はありませんでしたか?

これまで九州は会社の旅行ぐらいしか行ったことはありませんでしたし、姫島の事はしらなかったのでインターネットで調べました。僕の思ってた離島って 、離島に行くのも出かけるのも大変っていうイメージがあったんですけど、姫島はフェリーの便数も多く距離も近いし、島内に結構なんでもあって思っていたよりも住みやすそうだなという印象を受けました。

買い物についても、基本的にインターネット通販で購入していたので街じゃないと不便というわけでもなく、姫島はインターネット環境も整っているので十分だなと思いました。実際、大手通販サイトは注文してから届くまでかなり早くて驚きました。

 

― 実際に姫島に住まれてみていかがでしたか?

今の収入はサラリーマンをやっていた頃よりも減っていますが、旬の野菜を食べて、旬の魚を食べる。 多分、これはお金を出してもできないような生活だと思います。 姫島に来てから食べるものが美味しくて、少し太りました(笑) 魚が食べたいってなったら家の前が海なので釣ってきます。

近所の人からもらう野菜も美味しいし、あとは肉と調味料を買うという感じです。食費にお金がかからなくなりました。本当シンプルな生活になって、無駄遣いが減ったので、多少収入が少なくなっても、生活がそんなに苦しくならず貯金していけています。

網を編む上岡さん

 

― 困ったことや苦労したことはありませんでしたか?

一次産業である漁師の村ということで、外から入ってきた人間を受け入れてもらえるのかなと少し心配な部分があったんです。昔からある輪の中に入っていくのは難しいかなと。ところが、実際は住んでいる家の近所の方々がかなり温かく受け入れてくれたので本当に安心しました。むしろ思ってたよりもかなり距離が近くて驚いたぐらいです。「うちに寄っておいで」とか「野菜あげるよ」とか声掛けしてくれるのでありがたいなと思います。戸惑った部分もあったんですが、距離が近いことで色んなことが相談できるし気軽にお話しできるので、街とは違うコミュニケーションが取れるなと思いました。

島の事について、コロナ禍で自粛されている行事も多くあるのでまだ分からない事もあるんですが、その都度みんなが教えてくれるのでありがたいなと思います。みんなが温かく応援してくれてるので、僕も地域のために協力できることはして行けたらと思っています。

 

― 研修期間はもうしばらくありますが、今後したいことはありますか?

まずは独立して生計を立てることが第一ですが、なんでも挑戦していろいろなことができるようになりたいです。潜水もこの前免許を取ったので、潜水漁にも挑戦してみようと思っています。網の編み方を習ったり、ひじきを獲りに行ったりしました。「こんなことしてみたいんです」って相談すると手を差し伸べてくれる先輩達がいるので、とても感謝しています。

 

― 移住を考えている人、漁師を目指している人にメッセージをお願いします。

僕はここに来てよかったなって思えてます。 それは外から来た僕に漁師の担い手として本当に誠実に教えてくださるので、これだけ温かいところはなかなか無いと感じたからです。村民の方全員と知り合いになったわけではないので、全ての住民がそうではないかもしれませんが、少なくとも僕がお付き合いさせていただいてる近所の方や、先輩漁師さんたち、親方には、本当に親切にしてもらっています。

行政の支援もあって、人も温かくて、こんな環境はなかなか無いと思います。漁師になりたくて迷ってたらフェアに参加したり、問い合わせたり1歩踏み出してみるといいと思います。

稲積漁港

 

― ありがとうございました!