須賀香葉さん
姫島村役場職員- 離れてわかる地元の魅力
22歳で姫島にUターンしてから、現在は姫島村役場水産・観光商工課で観光や空き家バンクの利活用などにかかる業務をされている須賀 香葉(すが かよ)さんにインタビューしました。
― 須賀さんの普段のお仕事について教えてください。
姫島村役場の水産・観光商工課で働いています。今年度は主に観光と空き家バンク(利活用・案内)や企業誘致を担当しています。
― 須賀さんは大分県の情報番組などで姫島について紹介するなど、活躍されていますよね。
メディアへの出演は去年は主にスタッフとして行っていたのですが、今年からはメインとして毎月出るようになりました。最初はすごく緊張していましたが、少しずつ慣れてきた気がします。
― 出演する際に気を付けていることや、周りの反応はいかがでしたか?
「姫島に行ってみたいな」と思ってもらえるような雰囲気づくりを心掛けています。出演してから村の人たちに声をかけてもらえることが増えました。村民の皆さんとの交流するきっかけが増えて嬉しいなと思っています。
― 姫島に移住する前は、どこで何をされていましたか?
整体の学校を卒業した後は、大分市のマッサージとかリラクゼーション関係の仕事をしていました。人と接するのが好きで接客の仕事を選びました。
― そうなんですね。今の水産・観光商工課の業務もいろいろな方と関わることが多いと聞きますが、いかがでしょうか。
そうですね。水産・観光・商工を担う部署で今は主に観光を担当していますが、いろいろな職種の人たちと関わることが多いです。人と接することは相変わらず好きなので、今の仕事につけて良かったと思っています。
― 姫島に帰って来ようと思った切っ掛けはなんでしたか?
当時、余裕のない生活と人間関係に少し疲れていたこともあり、街中で暮らしていると自分が存在してもしなくてもいい、ここにいるのは自分じゃなくてもいいという感覚を感じるようになってきていました。祖母が体調を崩したことをきっかけに帰省した時、改めて姫島での暮らしについて考え、自分がいることで喜んでもらえる環境で過ごしたいと思ったのがきっかけです。
― ご家族と須賀さんがお互いを大切にされているのが伝わります。姫島は小さいコミュニティの分、人とのつながりが濃いですよね。
姫島だと「○○さんの家の○○さん」と気さくに声をかけてもらうことが多いです。人とのつながりが強いことを苦手と感じる人もいるけれど、私は姫島の中なら「自分は一人の人として見てもらえる」と感じました。もともと、姫島が好きだったこともありUターンすることにしました。
― 姫島に帰りたてのころはどのように過ごしましたか?
最初は姫島のショッピングセンターでアルバイトをしながら頼まれたときは整体マッサージを行い過ごしていました。そのころ青年団の活動で現在の夫と知り合いました。
― もともと知り合いではなかったんですか?
全く知りませんでした(笑)子どものころは周りにいるのは同学年だけでそれ以上に人がいるって認識があまりなく、村内の人と結婚するなんて考えた事もなかったです。夫の家は実家から徒歩2分の近さだったんですが、少し年が離れていたりすると意外と接点がないので青年団での活動がなければ出会えていなかったかも。
― なるほど。青年団に入ることでさらに交流の輪が広がり、旦那さんとも巡り合えたということですね。
はい。その後、夫と結婚するぐらいの時期に役場に勤めるようになりました。現在4人の子どもがいます。慌ただしい毎日ですが、一人で全てを抱えることなく家族や地域の人に助けてもらいながら子育てができているのはありがたいなと思っています。
― 現在お子さんが4人いらっしゃるということですが、子育てについてお話を聞かせてください。
子どものころから漠然と子育てするなら姫島がいいと思っていました。高校生のころに入選した姫島について書いた作文でも子育てをするなら姫島がいいと書きました。
― 高校生のときから!姫島のどういうところに子育ての魅力を感じていましたか?
自分が育ったみたいに自然に囲まれた環境で子どもを育てたいと思っていました。幼いころ親に磯に連れて行ってもらったり虫を捕ったりとか楽しい思い出がいっぱいあって自分の原点というかパワースポットだったんです。
― 休日にお子さんとどこに行くことが多いですか?
磯や漁港の水面の魚影を眺めながら散歩したり小学校のグラウンドで遊んだりします。ぷらっと行くなら中央公園、蝉捕りなら北浦公園や幼稚園が多いですね。犬の散歩で観音崎にもいきます。ちょっと散歩に行くと自然に触れることができるし、子ども達も自然や昆虫が好きなので喜んでくれます。アサギマダラの季節はアサギマダラを必ず見に行きますね。
― 日ごろは一度にたくさんの蝶々を見る機会はあまりないですし、ひらひら飛ぶ姿は子どもの好奇心をくすぐりそうですね!
はい。子ども達もアサギマダラが好きなので飛来してくる時期になると嬉しそうにしています。
― 最近の印象的な出来事はありますか?
ここ最近では、舟引き祭り(大帯八幡社の秋祭)が印象的でした。家族6人で参加は初めてだったし、次に自分の地区に順番が回ってくるときは6年後なので良い思い出になりましたね。
それと、コロナ禍で自粛が続いていた出店が久しぶりに復活したことで子どもたちも喜んでいました。それぞれが、金魚やボールをたくさんすくって帰ってきたのでどうしよう(笑)って。そういうことも含め楽しくて印象深い出来事でした。
※舟引き祭り(大帯八幡社の秋祭):子どもたちが鳴らす鐘の音に合わせて舟形の山車を引き村内を巡る神事です。毎年10月の体育の日の前々日に行われ、村内の各地区が持ち回りで担当しています。
― Uターンしてから不便に感じることや困ったことはありましたか?
そうですね……フェリーの時間に合わせて行動することになるので不便に感じることがありますね。財布とか鍵とか代わりがきかないものを忘れちゃうと次の便まで待つことになるので気を付けるようにしています。大人の準備は前日にすませておいて、出かける当日は子ども達の準備に専念できるように工夫していますね。
― 確かにフェリーの時間に遅れないように、帰りの時間を考えながら動くことになるので自然と計画的にでかけるようになりますよね。
はい。ただ、陸続きじゃないからこそ村外へのおでかけはいい気分転換になったり、ささいなトラブルであればあるものでどうにかしようと思えるようになったのでそこは良かったなと思います。
― 姫島でこれからやってみたいことはありますか?
具体的なことはまだ思いついていませんが、子どもたちが「姫島が好き」って思って育ってくれるような環境にしたいなと思っています。将来、姫島を出ることになっても島で生まれ育ったことを誇りに思ってくれるようになるといいなと思っています。
― それでは最後に、姫島での暮らしに興味を持ってくれた方へのメッセージをお願いします。
姫島村には、コンビニもないし、村外に出る時にはフェリーの時間との戦いではありますが、それ以上に毎日見る朝日や夕日の美しさや、空気のおいしさ、新鮮な魚や野菜を「たくさんとれたから」とお裾分けしてくれるような人の温かさが魅力的な島です。便利なものに囲まれるよりも、毎日を姫島村ですごす経験こそが人生を豊かにしてくれると私は思います。
― ありがとうございました!